10月17日 臼杵市議会教育民生委員会の視察で、岡山県奈義町を訪れました。
岡山から在来線で1時間半の津山駅からさらに車で30分。
人口5000人ほどの小さな町で、半径2キロにその8割が住むコンパクトシティです。
2012年に「子育て応援宣言」を出し、若者定住施策や就労対策、独自の子育て支援策を積極的に進めてきた結果、合計特殊出生率は令和元年には2.95という驚きの数字を達成し”奇跡の町”と呼ばれました。
ちなみに臼杵市のここ5年平均は、1.29で県内最下位です。
子育てに対する支援施策は、臼杵と大差ありません(臼杵市の子育て施策は充実しています)が、奈義町では、経済的なバックアップをする子育て支援施策に加えて、住宅施策(住む環境)と、就労の場を確保する施策(働く環境)に力を入れている点が参考になりました。
<住む>賃貸住宅不足を解消するため町で「民間賃貸住宅の建設」を助成したり、町として若者向け住宅の建設や分譲地整備を行ったりしています。
<働く>企業団地の誘致で就労を確保したり、「しごとコンビニ」と称する事業で「『ちょっとだけ』働きたい」を支援しています。子育てしながらでもシニアでも空いた時間で “役に立ちながら” ”地域や社会に関わりながら“ ”お金を得ることができる“仕組みと環境を整えています。
「子育て応援」を前面に押し出し、首長みずからが大きく宣言することで、地域や子育て世代のニーズを拾いあげ、住民参加型の施策に反映し、意識を高めながら町民が総ぐるみで子育て支援を行う、という好循環が生まれています。
子育ての安心感と心強さを保証するために保護者に向けた精神的ケア(産む前と産んだ後のカウンセリング実施、産後うつの予防、町民が支える一時保育、親同士で協力する自主保育活動、気軽に寄れるチャイルドホーム、など)にも力を入れており、子育て世帯で3人以上子どもがいる家庭は半数を超えています。
「子育て予算をねん出するために議員や職員の削減など含め徹底的なコストカットも行っている」という話を聞いてショージキ他の世代から不満は出ないのか心配になりましたが、「少子化対策は子育て世代だけの問題ではなく、最大の高齢者福祉でもあるのだ」として、まち全体で『住みやすい未来を描いていこう』とする姿勢がとても有効なのだと感じました。
※合計特殊出生率は、15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、1人の女性が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの平均子ども数に相当します
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